古くから日本人は、あらゆるものに驚くほど深い洞察を加えてきました。万物に愛着を感じ、時には縁起の佳いものとして側におくことも。そんな日本人ならではの感性をわたしの中にも感じて、ガラスをこしらえました。探していた本に出合ったときのような嬉しい気分で。
奇怪な生き物と思いながらも、彼らに惹かれる人は少なからずいる。マントのような膜を持ち、逆さまにぶら下がって眠り、前足は鉤爪。
写真:小瀬佳伸
よく見ると顔が意外と可愛らしい。
日本では着物の柄になることはあるが、粋や珍しさを表し、シルエットのみの扱いが多い。
ところが中国では、コウモリは吉祥文様であると知って、俄然描きたくなった。
中国の「尚書」に、五福とは、「長寿・冨貴・康寧・功徳・善終」を指すとされている。
蝙蝠の「蝠」と「福」は発音が同じだそうで、尚書の五福は、五匹の蝙蝠によって例えられる。
後年かの国では五つの福の種類は変わってしまったそうだが、私はこの最期に「善終」があることが嬉しい。
善き死を迎える。それはしてきたこと全てを肯定する幸福。
大きなものに単純に畏敬の念を抱きます。同時に、美しさと恐怖も与えるサイズです。彼らが生きている海の中の姿を、私たちは本当には知らない。魚と違い、彼らは人間と目を合わせるらしい。白目があるのだ。海の世界から、彼らは大きな目で私たちを見つめています。
大きなものに単純に畏敬の念を抱きます。同時に、美しさと恐怖も与えるサイズです。彼らが生きている海の中の姿を、私たちは本当には知らない。魚と違い、彼らは人間と目を合わせるらしい。
白目があるのだ。
海の世界から、彼らは大きな目で私たちを見つめています。
かたちが面白いので絵になるが、彼らを描くときは図鑑をイメージしています。
わかりやすく、
海の中の生息域を意識して、器物の底に、砂地に棲むヒラメやカレイを描いたりもします。
私が注染手ぬぐいを作りたかったのは、タコとモンガラカワハギのフォトジェニックぶりがたまらなかったから。